会話をしていて、「この人、タイミングが悪いな~」と思ったことはありませんか?
以下2つの例をご紹介します。
(例1)
会社員の花子さんが私にこんな相談をしてきました。
花子「この人に声をかけたいな。でもなんて声をかけようかと考えているうちに、他の人と話し始めてしまい、声をかけるタイミングを逃してしまいます」
私「誰かに声をかける時、なぜ考え込んでしまうのですか?」
花子「なんて声をかけたら嫌われないかとか、どう声をかけたら上手く会話ができるだろうかとか……。私、変な人って思われたくないのです。だから変な人と思われないような会話をしなくちゃと思っているうちに、いつもタイミングを逃してしまいます」
私「タイミングを逃したら、そのあとどうするのですか?」
花子「相手の話が終わるまで待つか、あきらめます。でもほとんどがあきらめてしまいます」
私「もしかしたら今までも、タイミングを外すことってありませんでしたか?」
花子「はい。しょっちゅうです。あっ、今言えばよかったと後悔することばかりです」
(例2)
50代の太郎さんは、もともと一人でいるのが好きなタイプです。あえて人と関わる必要はないと思っていました。
ところが仕事で新しい職場に異動になった時、職場の人たちとなかなかなじめないことに、ストレスを感じるようになりました。職場は自分よりも年下の人たちばかりで、年長者としてのプライドがあり、自分から声をかけるタイミングが取れずにいました。結果、話しづらい上司とか、無口な上司と思われてしまうようになり、退職することになりました。
人と会話ができなくて困っている人の中には、声をかけるタイミングを外していることがあります。その理由は、正しく伝えることや話す内容に意識が向いてしまうからです。
どんなに素晴らしい内容であっても、タイミングを外してしまったら、相手には伝わりづらくなります。また一度タイミングを外してしまうと、次に言い出すタイミングがつかめずに、結局何も言えなくなってしまいます。
会話に苦手意識がない人たちは、思ったことをそのまま話しているだけだと言います。思ったことをそのまま話すというのは、まさに「今」というタイミングで話しているので、相手に伝わりやすいのです。
再び、会社員の花子さんの例です。
「先日の会議の時に、私は部署ごとに会議をするよりも、社内全体で会議をした方が、横のつながりが密になっていいのではないか、ということを言いたかったのですが、言えませんでした」
と花子さんは会議が終わった1週間後に上司に伝えました。ところが上司に話を流されてしまい、聞く耳をもってもらえず、そのことを嘆いていました。
私「なぜ会議の時に話さなかったのですか?」 花子「自分の考えを上手くまとめて話す自信がなかったのです」
私「もしも上手くまとまらなくても、会議の時に話すとしたらなんて言いますか?」
花子「上手くまとまっていませんが、『考えたことを話します』と前置きをして話します」
「今」というタイミングを外さないで伝えることで、上手く伝えられなくても、相手に受け取ってもらいやすくなります。
また、相手が何かを言ってきた時、とっさに返事ができずにタイミングを外してしまうという場合は、
「すぐに返事ができなくてごめんない」
「教えてくださってありがとうございます」
「少し考えさせてください。よろしくお願いいたします」
というように、ひとまず返事をしておきます。何も言わずに無言でいられるのは、相手にとっては不快です。
他にも、相手のタイミングを外さないために、あいづちや、うなずきなどの合いの手を入れるという方法もあります。「はい」「ええ」「そうですね」「よくわかります」「その通りですね」「納得です」「確かに」「さすがです」「嬉しいです」「驚きました」「共感します」など、これを話の間に入れます。
一度に全部を使い分けするのは難しいと思いますので、この中から使いやすい3つを選んで、それをローテーションさせてください。まずは慣れることです。 この合いの手のタイミングが合うと、あなたが話さなくても相手が気持ちよく話してくれるので、あなたはらくに会話を聞くことができます。
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