コミュニケーションでは承認をよく使っています。
承認とは「私はあなたの存在に気づいています」ということをいろいろな方法で、相手に伝えることです。また、相手のありのままを認め、受けとめる行為でもあります。
相手を承認する目的は、お互いの信頼関係を築くため、お互いにより良く成長していくためです。
私たちは自分の存在を、誰かに認めて欲しいと思っています。誰かに「ありのままの自分」を認めてもらうことで、自分がここにいてもいいのだと安心し、それが自信を持つことにつながります。
どういう時に、人から認めてもらったと思えるかというと、
声をかけられた時
相手に名前を呼んでもらった時
変化、成長したところを伝えられた時
「ありがとう」「たすかりました」と言われた時
誘ってもらえた時
などがあります。
ほめられた時は?と思ったかもしれません。もちろんほめられた時も、人から認めてもらえたことになります。けれど中には、ほめられて居心地の悪さを感じる場合があります。
あなたは日頃、誰かをほめていますか?あるいは誰かからほめられたことはありますか?
以前、承認についての講座をした時に、参加者のみなさんに以下の質問をしました。
あなたのお子さんが、学校からテストを持って帰ってきました。
「100点だったらほめますか?」と質問すると、全員が「ほめる」と言いました。
「では、99点だったらほめますか?」と質問すると、ほとんどの人が「ほめられない」と答えました。たった1点の違いで、ほめるとほめないに別れてしまうのです。
「あと1点取れたら満点だったのに、何やってるの!!!」と逆に叱ったりするかもしれません。
つまりコミュニケーションにおいてほめるということは、「これはほめられるけれど、これはほめられない」という、ほめる側の評価が入るものであり、さらに、ほめる基準が曖昧という点も見逃せません。また、ほめる相手が上で、ほめられる人が下というような、上下関係が発生します。
上司が部下をほめる
先生が生徒をほめる
コーチが選手をほめる
親が子供をほめる
年上の人が年下の人をほめる
ほめる行為に上下関係を強く感じる人は、ほめられても嬉しくないし、ほめられることで、逆に相手に対して不信感を持つ場合もあります。また、あなたが今までにほめられた内容は、相手がジャッジしたあなたに対する良い評価ではないでしょうか。
同じことをやっても、ほめられる時とほめられない時があり、同じことをやっても、あなたはほめられないのに、他の人がほめられたりすることがあります。つまりほめるためには条件があるのです。
以下、その条件の一例です。
・ほめられることをした時
・相手がこれはほめることだと判断した時
・人よりも目立つ良いことをした時
・相手がほめようと意識する時(意図的)
ほめることは、脳への影響がとても良いと言われていて、子供はほめて伸ばすということが、一時期流行りました。その時に親や先生は、一生懸命子供たちをほめましたが、ほめることに疲れてしまう、という声を聞きました。
コミュニケーションをする中で「ほめる」という方法しか知らない場合、ほめるための条件に当てはまらない人は、ほめてもらえません。では、ほめることがない時は、どうしたら良いでしょうか?
そんな時には「承認」が使えます。「ほめる」と「承認」の2つの方法を使えると、あなたのコミュニケーシの引き出しが増えます。
では、日常生活で使う承認とは実際にどういうものでしょうか?例をあげます。
挨拶をする
返事をする
名前を呼ぶ
目線を合わせ、相手を見る
ねぎらう、感謝をする
相手と向き合う
相手が言ったことを覚えている
変化、成長したことを伝える
話を聞く
趣味や将来の夢を聞く
などです。他にもまだまだありますので、自分で考えてノートに書いてください。
「ほめる」と「承認」を区別する必要はありません。また「ほめる」ことが悪いと言っているのでもありません。承認は、相手と信頼関係を築くための最強のスキルといえます。
その中でも、最もよく使う承認は「ありがとう」ではないでしょうか。
あなたが「ありがとう」と相手に伝えた時、「ありがとう」という言葉をあなたの心が感じるのです。それは、自分で自分を承認していることになります。
相手に「ありがとう」と伝えた時、「ありがとう」をお互いに共有しているのです。
承認は、相手の存在と自分の存在の両方を認めることができる、コミュニケーションといえますね。
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